住職のつぶやき

 5月9日秋田さきがけ新聞朝刊1面に、「若年女性 半数以下に」の見出しで、「有識者でつくる『日本創成会議』の人口減少問題検討分科会(座長 増田寛也元総務相)は8日、地方から都市部への人口流出が現在のペースで続けば、30年間で20~30代の若年女性が半数以下になる自治体が全国で896に上るとの試算を発表した。本県は大潟村を除く24市町村が該当した。分科会は人口減少と地域問題に歯止めをかけなければ自治体運営が行き詰まるとし、東京一極集中の是正や、地方の魅力ある拠点都市づくりなどを提言した。」という内容の記事が掲載されておりました。

 また5月9日の読売新聞トップには、「人口減少社会に入った日本、その進行は全国一律ではなく、当然過疎の村から顕著になる。自然減に加えて、東京というメガ都市が地方から人々を、特に若者を吸い寄せる。仕事を求め、あるいは華やかさに憧れ、人々は東京を目指す・・・まるでブラックホールのように東京が人々を、地方都市を飲み込んでいく。」という内容の記事も掲載されておりました。

 大都市に人口が一極集中する『極点社会』、『限界集落』と呼ばれた地方では過疎化・高齢化が一段と進み、若者がいなくなった集落はやがて消滅することになる。2040年には、500もの自治体が消滅の危機にあるという。就職先の無い若者たちが地方から大都市へ流出し、残された高齢者の絶対数も自然に減る。その結果、地方の経済はさらに困窮を極めることとなる。他方、都市も若者たちを受け入れるキャパにも限界がある。落ちこぼれた若者はさ迷い続け、自分一人が生きていくことで精一杯で、家庭を持つことなど不可能である。まさに負の連鎖反応だ。

 時恰も5月9日は宗門の会議があり、私は「宗門の慶事を盛り上げることも大事だが、この地方の人口減少問題(因みに私のお寺がある仙北市は、2010年にいた2,483人いた20~30代の若年女性が30年後の2040年には842人と-66.1%また県レベルでは秋田県は全国ダントツのワースト1の末恐ろしい増減率である。)は喫給の課題で、地方にとって一丁目一番地の課題といって過言ではないと思う。」旨の発言をさせて頂いた。
『日蓮宗』開祖日蓮大聖人の御遺文『立正安國論』に「所詮(しょせん) 天下泰平国土安穏は君臣(くんしん)の願う所 土民(しみん)の思う所なり 夫れ国は法に依つて昌え 法は人に因つて貴し 国亡び人滅せば仏を誰か崇む可き 法を誰か信ず可きや 先ず国家を祈りて須(すへから)く仏法を立つべし」と仰せになっておられる。そもそも国は根本とする法によって栄え、法はそれを崇める人がいてこそ貴い。国が亡び、人がいなくなってしまえば、仏を誰が信じるであろうか。・・・という意である。

 果たして人口減少問題に出口はないのか?み仏の実在性を信じ、釈尊一代84,000巻の経王である『妙法蓮華経』を日々読誦して諸天善神のご加護を乞い、収入は激減しても田舎の大地に根ざし、国家の安泰を祈る時こそ、新たなみ仏の世界が顕現するものと確信する。

合掌